給与所得者の可処分所得を知る (3)

可処分所得の内、消費支出に当てられる割合を消費性向、貯蓄に向けられる割合を貯蓄性向といいます。消費性向と貯蓄性向は、和が1となる一対の概念です。

経済全体の消費性向が低くなる(貯蓄性向が高くなる、簡単に言うと、家計の財布の紐が堅くなる)と、消費市場の低迷→企業の業績悪化→雇用や労働時間の減少→個人所得の減少という悪循環に陥る道筋ができます。さらには、消費市場の需要に対して供給過多となることによって需給バランスが崩れ、コストの押し下げ圧力も相まって物価が下落し、深刻なデフレスパイラルの状況を招く恐れがあります。

経済全体の消費性向が高くなる(貯蓄性向が低くなる、簡単に言うと、家計の財布の紐が緩む)と、消費市場の活性化→企業の業績好転→雇用や労働時間の増加→個人所得の増加という好循環を呼び込む原動力が生まれます。反面、消費市場の需要に対して供給不足となることによって需給バランスが崩れ、コストの押し上げ圧力も相まって物価が上昇し、バブル景気~崩壊の呼び水となる恐れがあります。

物価の下落は、実質的には可処分所得を押し上げ、物価の上昇は、実質的には可処分所得を押し下げるため、デフレ下においては、可処分所得が減少しても実質可処分所得は増加することがあり、インフレ下においては、可処分所得が増加しても実質可処分所得は減少することがあります。したがって、可処分所得の増減は、物価上昇率を取り入れた実質可処分所得で考えることが重要となります。